抵当権
抵当権とは、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受けることができる抵当権者の権利のこと(民法第369条)。抵当権は、担保物件の1つである。つまり、賃貸借契約において、契約するオフィスビルに抵当権が設定されているということは、そのオフィスビルが借金の担保になっていることを意味する。それ自体に問題があることはないが、抵当権が設定された後に締結された賃貸借は、抵当権に劣後することとなります。したがって、民法第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)いわゆる建物明渡猶予制度の適用を受けることとなります。
連帯保証人
連帯保証人とは、主たる債務者と連帯して債務を負うとする特約を付した保証人のこと。連帯保証人には、催告の抗弁権(民法第452条)と検索の抗弁権(民法第453条)の権利がなく(民法第454条)、事実上債務者と全く同じ義務を負うこととなる。
賃貸事務所の賃貸借契約時に求められる保証人は、ほぼ連帯保証人である。契約の相手方(賃貸人)により違いがあるが、下記のような人物を連帯保証人として求められる。
・法人の代表者個人による連帯保証
・法人の代表者の身内による連帯保証
・法人とは関係のない第三者による連帯保証
一般的には、法人の代表者個人による連帯保証を求められることが多い。
登記簿謄本(登記事項証明書)
登記簿謄本とは、登記簿にきさいされている事項の照明として発行される証明書のこと。現在、登記事務がコンピュータ化されている登記所により発行される証明書は、登記事項証明書となっている。しかし、昔から馴染みのある呼び名で呼ばれていることが多い。登記簿や謄本と呼ばれる。
賃貸事務所の賃貸借契約に関連する登記簿謄本(登記事項証明書)には、建物の権利関係等の確認・説明に用いられる不動産登記に関するものと賃貸借契約の締結時に必要書類として用いられる商業登記に関するものがある。それぞれ管轄の法務局にて交付申請・取得できる。
不動産登記及び商業登記の登記事項証明書等は誰でも交付を請求することができる。
動線(動線計画)
動線とは、事務室内の人や物が目的を持って移動する経路のこと。動線のその幅や長さを適切に設定するための計画を動線計画という。事務室を機能的に使うために欠かせない計画が動線計画である。動線計画では、避難経路として適切かどうかという安全面からのアプローチが必要であり、機能性評価と安全性評価の両面からの検討が必要である。
個別空調
個別空調とは、オフィスビルの場合、貸室内にコントローラー(スイッチ)があり、空調機の入り切り、冷暖房の切り替え、温度調節などが個別にできる空調方式のこと。パッケージ方式とも呼ばれる。基本的には、室外機1機に対して、室内機1機、コントローラー1台になっているが、室外機1機に対して室内機2機、コントローラー1台になっているツインタイプや室外機1機に対して複数の室内機、複数のコントローラーになっているマルチタイプがある。
床荷重
床荷重とは、1㎡あたりの床が耐えられる重さのこと。建築基準方施行令第85条(積載荷重)により、建築物の用途により最低限の積載荷重が決められている。事務室は2,900N/㎡となっている。床荷重を概算計算すると1kgf=9.8N、2,900÷9.8≒295kg/㎡となります。一般的なオフィスビルの床荷重は、300kg/㎡から500kg/㎡が多いです。また、最近のオフィスビルでは、サーバー室など荷重のかかる施設を置くような場合を想定して、床の一部分の床荷重を補強しているヘビーデュ-ティーゾーンを設けているオフィスビルもある。
普通借家契約
普通借家契約とは、正当事由制度により借家権を保護する借家関係であり、正当事由制度により更新拒絶・解約申入れを制限する従来型の借家関係のこと。これに対し、平成11年の借地借家法の改正により創設された正当事由制度の適用がなく、期間の満了によって確定的に終了する借家契約のことを定期借家契約と呼ぶ。
普通借家契約は、期間を定めない場合と期間を定める場合がある。賃貸オフィスビルの契約は、一般的に期間を定めた契約となる。
■ 普通借家契約と定期借家契約の違い
【契約方法】
普通借家契約
必ずしも書面による契約をしなくても可。口頭でも契約は有効とされる。
定期借家契約
事前説明書の交付・説明および必ず書面による契約が必要である。怠った場合は、定期借家契約と認められず、普通借家契約とされる。
【契約期間】
普通借家契約
期間を定めても、定めなくとも良い。しかし、1年以上の期間を定めなくてはならず、1年未満の期間を定めた場合は、期間の定めのない契約とされる。
定期借家契約
期間の定めが必ず必要である。1年未満の期間も定めることが出来る。
【中途解約】
定期借家契約、普通借家契約(期間のある契約)ともに中途解約ができる旨の特約が必要である。
【借賃増減請求権】
普通借家契約
借賃増減請求権が認められている。一応、改定基準が相当なものであれば特約は認められるが、改定基準を適用して得られた賃料が不相当な場合は特約の効力は否定される。
定期借家契約
契約自由を基本とするため、特約が優先される。
【契約の更新】
普通借家契約
更新しないことを相手方に通知しないかぎり、更新したものとみなされる。更新拒絶をする場合は、正当事由が必要となる。
定期借家契約
契約期間の満了により確定的に契約が終了する。更新はない。引き続き契約を継続するためには、再契約を締結する必要がある。